僕 達 の デ ジ タ ル な 記 憶


 目の前に今の今まで格闘していたモンスターが倒れている。
 そして―――俺も倒れている。
 相打ち。ドジっちまったな。
 「ここまでか…?」
 途切れそうになる意識の中、複数の足音が聞こえてくる。何だ……人、か?
 声「ねぇねぇ、誰か死んでるよっ」
 声「あ?ありゃまだ死んでねーだろ…」
 話声、駆け寄って来る足音。そして―――

 声「ヒール!!」


Illustration by Pot 2.2L

 さやさや「はい、これで大丈夫だねっ」
 女の子の声と同時に体が軽くなり、痛みが引いていく。
 「俺、生きてる…のか?」
 くるみ「ったく、その程度で死ぬかよ?ガタガタ抜かしてんじゃねえ。さや坊、さっさといくぜ?」
 さやさや「よし、いこー!」
 名雪「うにー。みんな早く行くよー。けろぴーも一緒だよー」
 祐一「名雪、それはムリ有り過ぎだろ…。せめて色くらい―――って、話の途中で寝るな!」

 突然のヒールに罵声、掛け合い漫才。呆気に取られる俺。
 もう俺の存在自体忘れたように勝手に話し始める。……なんて、騒々しいヤツらだ。
 さっきまで死まで覚悟してた俺がバカみたいじゃないか。

 ―――でも。
 こういうのはキライじゃない。
 おそるおそる声を掛けてみる。
 「なぁ、俺も一緒に……行っていいか?」
 俺の声に一斉に振り返る彼ら。
 くるみ「あぁ?何あたり前の事言ってんだ?」
 名雪「うに。了承するよー」
 祐一「あぁ、もちろんだ」
 さやさや「一緒にいこー!」

 僕達のデジタルな記憶は―――ここから始まる。

 
ShortStory by sayasaya


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