目の前に今の今まで格闘していたモンスターが倒れている。 そして―――俺も倒れている。 相打ち。ドジっちまったな。 「ここまでか…?」 途切れそうになる意識の中、複数の足音が聞こえてくる。何だ……人、か? 声「ねぇねぇ、誰か死んでるよっ」 声「あ?ありゃまだ死んでねーだろ…」 話声、駆け寄って来る足音。そして――― 声「ヒール!!」
さやさや「はい、これで大丈夫だねっ」 女の子の声と同時に体が軽くなり、痛みが引いていく。 「俺、生きてる…のか?」 くるみ「ったく、その程度で死ぬかよ?ガタガタ抜かしてんじゃねえ。さや坊、さっさといくぜ?」 さやさや「よし、いこー!」 名雪「うにー。みんな早く行くよー。けろぴーも一緒だよー」 祐一「名雪、それはムリ有り過ぎだろ…。せめて色くらい―――って、話の途中で寝るな!」 突然のヒールに罵声、掛け合い漫才。呆気に取られる俺。 もう俺の存在自体忘れたように勝手に話し始める。……なんて、騒々しいヤツらだ。 さっきまで死まで覚悟してた俺がバカみたいじゃないか。 ―――でも。 こういうのはキライじゃない。 おそるおそる声を掛けてみる。 「なぁ、俺も一緒に……行っていいか?」 俺の声に一斉に振り返る彼ら。 くるみ「あぁ?何あたり前の事言ってんだ?」 名雪「うに。了承するよー」 祐一「あぁ、もちろんだ」 さやさや「一緒にいこー!」 僕達のデジタルな記憶は―――ここから始まる。 ShortStory by sayasaya |
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