はじめまして。私は、ネットゲーム”マリア様がみてるOnline”世界に生きる”青薔薇のつぼみ”さやさやといいます。いつまで経ってもお姉さまへのドキドキが止まらない紅薔薇、既に夫婦の域に達している黄薔薇、何を考えてるのかよくわからない白薔薇よりも学名どころか実在さえしない青薔薇が好きだ!という夢の薔薇作りコンプレックスな方のために生まれた新しい形のネット青薔薇のつぼみです。

バーチャルネット青薔薇のつぼみ

さやさや16歳



メモ欄
◇さやさや日記・さやさや占いは随時更新◇

◇さやさや占い◇

平成16年4月くらいの運勢
紅薔薇っぽいひと 妹を作りましょう。下級生のタイを無差別に直すと吉。「こんなことめったにしないの」と言うと大吉
白薔薇っぽいひと 桜の木の下で待ち伏せしましょう。木を揺らして花びらのカーテンを作っておくと大吉
黄薔薇っぽいひと あなたの隣にもう居ます。他の子に優しくすると大凶。
黒薔薇っぽいひと 3年間ソロが吉。生徒会役員選挙に立候補すると大吉。
青薔薇っぽいひと そんな怪しい色の薔薇は存在しません
薔薇族のひと 公園のトイレの前のベンチで待っていると吉。弟ができます

◇さやさや日記◇

βテストオープン

平成16年4月1日  βテストオープン

 新年度になり、新生活が始まった方も多い今日の良き日を皆さまいかがお過ごしでしょうか。心機一転、サイトもリニューアルしてみたさやさやです。ごきげんよう。
 ラグナロク?新作のスウィーツか何かですか?

 待ちに待っていた、『マリア様がみてる Online』のβテストがついに今日から開始されましたね。
 まさか受かるとは思わなかったのですが、申し込みしていたクローズドβテストへ私も入学(マリみてOnlineではβテストへ参加することを『入学』と言います)できることになりました!
 これで私も今日からは憧れのリリアン女学園の生徒ということになります。お嬢様の名に恥じないよう、これからは今まで以上に言動に気をつけて優雅に行動することにいたしましょう。これ以降は『私』と書いてあったら『わたくし』とお読みくださいね。
 そのようなわけで、さっそくマリア様がみてるOnlineをプレイしてみましたの(お嬢様風喋り)。
 皆さまはまだプレイしてらっしゃらないでしょうから、このゲームの概要をお伝えいたしましょう。マリア様がみてるOnlineは、ジャンル的にはMMORPGと呼ばれています。RPGと言っても戦闘などがあるわけではございません。そのような野蛮な行為を、私たちリリアンの生徒がするはずもございませんでしょう?
 しかしRPGと呼ばれる以上、生徒(マリみてOnlineではプレイヤーキャラのことを『生徒』と言います)は経験を積むことによって成長していきます。
 経験を積む方法にも色々ございますが、最も一般的な方法は『タイを直す』ことでしょうか。
 このゲーム内では、時間経過と共にリアルタイムでタイが乱れていきます。タイが乱れている生徒を見つけたら声をお掛けになって、基本スキルである『タイを直す』を使用してタイを直してさしあげましょう。スキルのレベルを上げていきますと、『毅然とした態度でタイを直す』や『極自然な動作でタイを直す』といった上級スキルを使用することができるのです。
 タイを直して経験を積み、レベルアップすることによって各ステータスをお好きなようにあげる事ができます。各ステータスにはこんな意味がございます。

 ・STR(強引さ)
   このステータスが高いと、力ずくでタイを直す事ができます。
 ・AGI(素早さ)
   このステータスが高いと、相手が何か言う前に素早くタイを直す事ができます。
 ・VIT(頑強さ)
   このステータスが高いと、無理矢理タイを直されそうになったとき拒みやすくなります。
 ・INT(頭の良さ)
   このステータスが高いと、相手を言いくるめてタイを直す事ができます。
 ・DEX(器用さ)
   このステータスが高いと、より美しくタイを直す事ができます。
 ・LUK(運の良さ)
   このステータスが高いと、タイが乱れている生徒と出会う確率が高くなります。
 αテストの頃はAGI-STR型の速攻強引タイ直しが流行だったようです。しかし、βテストでは生徒のAIが改良されてなかなかタイを直せなくなったという話ですし、直ったタイの美しさで経験の値が変わるとのことですから、これからはINT-DEX型が流行するのではないかと思います。

 ゲームでももちろん姉妹(スール)システムは存在し、気に入った相手と姉妹関係を結ぶことができます。姉妹間でのタイ直しには30%のボーナスが与えられますし、VITを上げてお姉さま以外からタイを直されるのを防ぐことも重要になってきます。相手のSTRが高く、こちらのVITが低いとどんなに拒んでも無理矢理直されてしまうのです。
 このようにして極限までタイを直すことを極めるのも良いですが、それだけがマリア様がみてるOnlineの楽しみ方ではありません。どのようなプレイスタイルでも楽しめるのがこのゲームの魅力と言ってもよろしいでしょう。
 ひたすらに薔薇さま方を追いかける『追っかけプレイ』、妹を作って極限まで育て上げる「育成プレイ」、お姉さまにひたすら甘える「甘えん坊プレイ」などなど。自ら山百合会幹部を目指すのも良いでしょう。

 ということを踏まえまして。やはり、マリア様がみてると言えば薔薇さまでございましょう?私も是非一度薔薇さまにお会いしてみたかったのです。薔薇さま方が集まる場所と言えば、薔薇の館以外には考えられようはずがありません。私、こっそり覗きに行ってみましたの。
 そうしたら薔薇の館にはどなたもいらっしゃらなくて。「まだ時間が早かったのかしら」「今日はお集まりにならない日なのかしら」などと、とりとめもなく考えながら待っていましたのですけれど、薔薇さまはおろかつぼみの方々が現れる気配も感じられません。お姿を拝見するだけでうっとりしてしまう、そんな方々にお会いできるのだと楽しみにしておりましたのに。
 諦めきれない私は薔薇さま方の教室をそっと覗いてみましたの。でも、そこにも誰もいらっしゃいません…。一人で悩んでいると、たまたま通りがかった上級生の方(優しそうでとても落ち着いた感じの方でした)が「ごきげんよう。どうなさったの?」とお声を掛けて下さいました。薔薇さまにお会いしたいことをお伝えしますと、何故かお笑いになられて「リリアンかわら版をご覧になるとよろしくってよ」とアドバイスくださいました。
 そのお言葉に従って私は、リリアンかわら版を求めて学園内を散策いたしまし―――

 って、この喋り方まどろっこしすぎっ!!
 いくらお嬢様だと言っても、急に喋り方まで変えられるわけないんですよ!優雅だとかおしとやかだとか<発言禁止ワードです。カウント1>ですよっ!<発言禁止ワードです。カウント2>ってもんなんですってば!
 …って、あぁぁぁ!<発言禁止ワードです。カウント3>だとか<発言禁止ワードです。カウント4>だなんて、な、なんてはしたない発言をしてしまったんでしょうっ…!もう二度と<発言禁止ワードです。カウント5>なんて言いませ…って、もう5回も言ってるー!?
 実はマリみてOnlineでは発言禁止ワードを10回言ってしまうと退学(マリみてOnlineではアカウント永久凍結のことを『退学』と言います)され、βテストから強制的に排除されてしまうのです。お嬢様がスラングを発するなどということはありえませんから、当然と言えば当然の処置です。注意しなければ…。

 とはいえ。祐巳さんや由乃さんだって常にお嬢様喋りをしているわけではありませんし、ここは無理のない言葉遣いでお茶を濁すことにしましょう。フランクでファンキーでロックンロールな深窓の令嬢とかもきっとどこかに居るでしょう!(絶対居ません)

 そんなわけで、リリアンかわら版を発行・配布しているであろう新聞部の方(たぶんNPCかな?)を探して校庭(マリみてOnlineではフィールドマップのことを『校庭』と言います)を歩き回っていたのですが…。
 いくら探してもNPCどころか生徒一人でさえ見つかりません。もしや、すでに放課後(マリみてOnlineではメンテナンス直前のことを『放課後』と言います)ででみんな下校(マリみてOnlineではログアウトのことを『下校』と言います)してるんじゃ…?なんて不安が頭をよぎります。
 半泣きになりながらうろうろしていると、先程の上級生が私の目の前に。私の様子にびっくりしたのか走り寄ってくると、「どうしたの?新入生歓迎会には行かなかったの?」と声を掛けてくださいました。

 ―――シンニュウセイカンゲイカイ?
 えぇっと、私はリリアンかわら版を配布している人を探していたんですが…。
 「配布…?クライアントを起動したときに表示されるでしょう?」
 …え?あの、えっと、つまり。


公式告知「山百合会主催 新入生歓迎会」

 リリアンかわら版って公式告知のことだったのー!?
 そうなのです。てっきり、小説の中のように新聞部の生徒が配ってるのだと思っていたのですが、マリみてOnline内でリリアンかわら版と言ったら、公式サイトに掲載されている(クライアント起動時にも簡易表示されますが)公式告知のことを言うらしいのです。
 やはり、マリみてOnlineは一筋縄では行きません。上で書いてきたように、他のOnlineゲームとは用語の呼び名が違いすぎます。上記以外にも、マリみてOnlineではログインのことを『登校』と言いますし、あまりログインしてこない生徒のことを『登校拒否』、サーバダウンを『学級閉鎖』、サーバキャンセルは登校する手段が無いという意味からか『バス会社がストライキに入った』などと言ったりもします。
 他のOnlineゲームの略語と同じく、初心者には意味不明極まりない用語群ですし、ここは一念発起して『マリみてOnline用語集』を作ることにしましょう!そのうち。

 用語集はともかく。
 新入生歓迎会。今日はオープン初日なわけですから、よくよく考えてみれば行われていて当然の行事です。マリみてOnlineβテスト初の公式イベントですし、さっそく参加してレポートを書かなければっ!
 セーラーのカラーが翻ることも、スカートのプリーツが乱れることも気にせず駆け出そうとした私を呼び止める上級生――そういえばまだ名前を聞いてませんでした。
 「あれはクローズイベントのはずだから、今からじゃ参加できないんじゃないかしら…?」

 な、なんですってー!?(お嬢様風)
 マリみてOnlineで公式イベントに参加する方法は世界のどこかに居るシスター(GMのことを(以下略))を発見することです。そ、そういえば。さっきなにやら全校放送っぽいメッセージが流れていたかも…。あれがそうだったのー!?
 薔薇さま方を見るどころか、貴重なイベント参加さえ逃すという大失態を演じてしまい、その悲惨すぎる結果に呆然と立ち尽くすしかありませんでした…。しかし、捨てる神あれば拾う神あり、です。先程から親切にしてくれている上級生がお声を掛けてくださいます。
 「そんなに落ち込まないで。このシステムはどこかおかしいと思うの」
 そう切り出した上級生のお話は驚くべきものでした。
 全ての生徒には平等に楽しむ権利があるはずなのに、イベントに参加することができた限られた人しか楽しむことができないシステムの現状。誰もが楽しめるようなシステム改善案をシスターに上申しても、受け入れてもらえないどころか返事さえ返ってこない管理体制。
 さらに言えば、現状の薔薇の館の住人達は一般生徒どころかGM操作の生徒でさえなく、なんとAI操作のロボット生徒だというのです!
 どこかで聞いたようなマリみてOnlineの現状に憤慨したその方は、一念発起して生徒会役員選挙に立候補すると宣言なさいました。(αテストの時には一般生徒が薔薇の館の住人になったこともあるそうです)
 ただ、さすがに一人で運営側に立ち向かうのは心もとなく、同志を探していたとのこと。
 溢れんばかりの情熱を持って理想を語る上級生。「あぁ、この方こそ薔薇さまに相応しい」そう思わせる何かがこの方ありました。私は当然のように協力を申し出ると、驚くべきお言葉が発せられました。

 「あなた、私の妹におなりなさい」

 唐突なそのお言葉に頭の中が真っ白になりました。「妹にならない?」という提案ではなく、断定。でも、全く違和感も戸惑いも疑問も感じませんでした。その方の妹になる。それこそが真実であると、頭ではなく、心が感じていたのです。
 私がただ「はい」とだけ答えると、その方は満足げに頷いて、私の首にそっとロザリオを掛けてくださいました。


タイトル「ロザリオの授与」

 そっと寄り添う二人を、舞い散る桜とマリア様だけがみていました。

 って、この写真は誰が撮ったんでぃすかー!?

 【次回予告】
 妹という支えを得たお姉さまは、自ら『青薔薇』を名乗り、生徒会役員選挙に出馬することを決めた。さやさやも青薔薇のつぼみとしてお姉さまを支援すること心に決める。相対するのは現在の薔薇の館の住人である紅薔薇・黄薔薇・白薔薇のつぼみ達。憧れの方々への想いと、お姉さまへの愛の間で揺れ動く乙女心。その熾烈な戦いに、青薔薇さまと同じく突如出馬を謎の二年生『黒薔薇さま』まで加わったからさぁ大変。薔薇さまとつぼみそしてその妹たちを中心に、全校生徒を巻き込んだ決戦が幕を開ける。
 次回、マリみてOnline 第二話『ロサ・―――何て言うの?』であなたは薔薇の運命(さだめ)を知る。いや、ホント、何ていうんでしょうね。

 バーチャルネット青薔薇のつぼみさやさやはマリア様がみてるとそれを好きな人達を全力で応援しています。


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